網膜に関わる症状

網膜剥離

網膜剥離は、剥がれた網膜の裏側へ硝子体の成分が流入し、網膜に栄養や酸素が送り届けられなくなることで次第に視細胞が死滅し失明に至る病気です。

網膜剥離の主な発症原因として高齢者に多いものは老化現象の一つとして引き起こされる硝子体収縮との関係があります。この場合、硝子体の収縮によって、癒着した網膜が眼底から剥がされてしまい網膜剥離を引き起こすというものです。

この場合は、急速に進行することも有るので注意しなくてはいけません。また若年世代でも格子状変性という病気で円孔が出来て網膜剥離を発症することがありこれら二つが網膜剥離の主な原因のようです。

後者の場合は比較的進行が緩やかで、視野の欠損などの自覚症状によって網膜の異常に気づくことができます。網膜剥離の治療は、ほとんどは外科的手術によるものとなりますが最近では、硝子体手術を行う機会も増えているようです。

その他に、経強膜法という手術も有るようですが、こちらはうまくいっても8割程度の回復しか見込めず、患者にとっても負担の大きいものでもあります。

網膜動脈閉塞症

網膜血液を送る血管が詰まってしまい、酸素や栄養が運ばれなくなってしまう症状です。網膜の視細胞は、酸素が無いと死滅が始まります。また、再生する事は出来ないので、数を減らし、死滅すると失明に至ります。

網膜動脈閉塞症の発症は、年齢に比例して増えます。また、血管の病気なので、その原因が糖尿病や高血圧症から引き起こされる場合も有ります。

網膜動脈閉塞症には、以下の2種類が有ります。

  • 中心動脈閉塞症:太い血管が詰まる
  • 分枝動脈閉塞症:枝分かれした動脈で起こる

このうち、中心動脈閉塞症になると、急激な視力の低下が引き起こされます。もう一方の分枝動脈の方は、閉塞部位に付随する網膜が機能しないことでその部位の視野が欠損します。網膜動脈閉塞症は、視野に影響が出るので自覚症状でもある程度判断できますが、眼底検査を受けることで容易につけることができます。

閉塞部分が中心なのかそれとも分枝部分なのか、それぞれに特徴があるので確認する必要があります。その他の確認方法として、蛍光造影剤を用いる方法もあります。動脈閉塞症の治療方法は、血管の詰まりの原因である血栓を溶かす薬物や血管拡張作用の有る薬物を投与することで血流が再開するように促します。

閉塞期間が短時間なら視野がある程度回復することも見込めますが、長時間詰まっていて視細胞が死滅している場合は、欠損状態が戻りにくくなることも覚悟しなくてはいけません。血管が詰まるのは老化による組織編成も関係していますが、やはり食事内容や煙草の影響も考えられます。

悪玉コレステロールなどは、血管壁にこびりつきやすく、閉塞症や動脈硬化などを引き起こす原因ともなり兼ねません。その為、日頃から血管の健康につながる栄養分の摂取などを心がけることも大切です。

網膜静脈閉塞症

この病気は、網膜動脈閉塞症と同じように、眼球の静脈で引き起こされる血管の詰まりです。更に、血管が詰まることで血液が溢れ出し、眼球内に出血を引き起こします。

網膜両面や硝子体に血液が付着してしまうと視野障害が引き起こされるので、何らかの異常があるということがすぐにわかりますが、自覚症状が無い場合も少なくありません。

発症割合は、動脈閉塞症と同じように、高齢者になるほど多く、また糖尿病や高血圧症の人ほど発症しやすいことから、どちらの閉塞症も発症しやすい状態にあると考えることができます。また、症状が現れる部位も動脈閉塞症と同じように、中心と分枝に分けられます。

  • 中心静脈閉塞症:全体に満遍なく出血が広がる
  • 分枝静脈閉塞症:方向性を持って扇状に広がる

病気の症状の有無は、眼底検査で容易に確認することが可能です。また傾向造影検査でも確認することができます。治療に関しては、症状が軽度で不自由なく生活できている場合は、経過観察で様子を見ることがあります。

網膜動脈閉塞症と比べて緊急度の高い病気ではないものの、何かしら異変を感じたらすぐに病院で診てもらう必要はあります。

網膜裂孔

裂孔とは、字のごとく、孔(あな)が開くことですが、網膜裂孔を放っておくとそこから網膜の裏側へ水分が侵入し、徐々に網膜が剥がされてしまい、血液が送り届けられなくなってしまうことがあります。すると細胞が死滅し、結果として失明に至る危険性があります。

また、網膜裂孔をきっかけとして網膜剥離が引き起こされることがありますが、その場合を裂孔原発性網膜剥離と呼びます。大半の網膜剥離はこのようにして症状が現れるようです。

つまり、網膜裂孔が引き起こされたということは、そこから網膜剥離に発展する危険性があるという事です。また、誰でも網膜裂孔が引き起こされるというわけではなく、体質的に引き起こしやすい場所を元々持っている人がいるようです。

網膜裂孔の主な原因として多いものは、後部硝子体剥離をきっかけとして出来るもの。もう一つは、格子状変性内に出来る円孔が多いとのことです。

網膜色素変性症

これは、網膜の神経細胞が死滅しその後、黒い色素が沈着していく病気です。発症が始まると、暗がりでものを見る事が難しくなる夜盲症が引き起こされます。また、視野狭窄や視力低下も引き起こすようになりますが、初期段階では、夜盲症を自覚する事が多いようです。

患者の数は通常4000人~8000人に1人と言われていますが、5000人から1万人に1人程度の割合とのことです。また遺伝的疾患と言われていても、その傾向が認められるのは全体の半分程度で後の半分は親族に誰も同じような病気がいないようです。

網膜色素変性症では、白内障の合併率も高く、視界がかすんで見えるようになる事もあります。眼底検査をしてみると網膜の血管が全体的に細い傾向にあり独特の形をした黒い斑点が見えることもあります。

この斑点が網膜の中心から離れていれば、視野狭窄程度に抑えられて中心の視力は保たれていますが、全体的に広がると視野障害の度合いも強くなってしまいます。網膜色素変性症の治療方法は、現代医療では確実な方法が存在しないようです。

遺伝的な疾患なので、どのような事が原因なのか、それを特定するのが難しいからだと考えられています。直接的な治療方法はまだわからなくても、夜盲症引き起こすということからも、ビタミンAを補うことで、ロドプシンの生成を促し夜盲症を少しでも緩和することが可能となるかもしれません。

糖尿病性網膜症

日本でトップ3に入る失明に繋がる眼病です。

糖尿病網膜症は、糖尿病をきっかけとして網膜の毛細血管に起こりやすい病気で、血管に昆布や閉塞部位、または、拡張するなどの変性がもたらされる病気です。

その範囲が次第に進行していくことで敷納に影響が現れるようになります。糖尿病を患うと、その影響は血管に多く現れます。体のあらゆる部位に、さまざまな合併症をもたらす厄介な病気です。中でも網膜に影響を与える代表的なものが糖尿病網膜症です。

この病気の発症は、糖尿病を患ってからおよそ5年~10年という時間差が有ります。糖尿病初期から現れるわけでも自覚症状が有るわけでもなく、発覚するのは、糖尿病網膜症がかなり進行してから現れる事も少なくないので油断のならない病気です。

この病気が進行すると黄斑症を引き起こす事が有りものが歪んで見えたり視力低下を引き起こす事が有ります。また、増殖網膜症になる事で視力の低下が現れる事も有ります。糖尿病網膜症の診断は、眼底検査が基本となりますが、その他の網膜の血管の病変を確認する時と同じように蛍光造影検査を用いる事が有ります。

治療方法は、網膜光凝固術が用いられ進行している場合にも治療効果が有ります。糖尿病は、日本人に増えている生活習慣病の一つですが、それが体内のあたゆる所に悪影響をもたらし中でも眼球内に悪影響が与えられると失明に至る危険性が高くなります。

増殖網膜症

新生血管が現れて、そこから血液成分があふれ出すと引き起こされます。これをきっかけとして、硝子体出血を引き起こす事で視野障害になります。増殖というのは、新生血管が増えたことを指し、網膜症が進行した状態でもあります。

症状の進行次第では、近くのものが見えなくなる程、視力が低下してしまいます。更に、新生血管の増殖と出血だけでなくその周囲に膜状の組織が生成され、そこを中心に網膜の表面や硝子体膜へと広がっていくという特徴を持っています。

そして、ある程度成長すると、今度は収縮を始めます。この時、網膜に張り巡らされた増殖膜が収縮し網膜剥離を引き起こす事もあるので油断できません。最悪の場合は失明もありうる病気ですが、純網膜症の場合や増殖網膜症がまだ初期段階である場合治療によって改善が見込まれます。いずれにしても早めの発見と処置が有効です。

高血圧性網膜症

網膜の動脈に関わる疾患で、高血圧性網膜症と網膜動脈硬化症があります。血管に原因があるということで、眼球内だけでなく全身疾患が関係している病気でもあります。

網膜動脈の異常を確認するのは、眼底検査で容易に行うことができます。また、高血圧症や動脈硬化症がある場合は、内科から眼底検査を受けるように指示されるようです。

そのように指示される理由は、唯一、網膜の血管のみが、体の中にカメラなどを入れなくても見ることが出来るからです。眼底検査で網膜の血管の様子を確認し、そこから全身の血管に様子を推測するとのことです。高血圧性網膜症の場合、その大半は病状が現れませんが進行すると動脈が遅くなり血圧が高くなるので、網膜や視神経にむくみなどが引き起こされることがあります。

もう一つの網膜動脈硬化症では、動脈の反射が高まり静脈が太くなったり、動脈と静脈の交差する部分では、静脈側にくびれが出来ることがあるようです。治療方法は、血圧のコントロールなど内科的療法が用いられます。

これらを発症しても直接的な視野障害や視力低下は起こりませんが、網膜動脈閉塞症や静脈閉塞症を発症するとその危険性が高まります。